風邪ひいてまんねん

風邪ひいた→幸佐妄想を形にしてみた。
ていうかむしろ弁佐。
ちなみに、旦那はまだ弁丸で、もうすぐ元服なさるころな設定。

捕捉必要なあたり、文才の無さが伺えまする^ρ^

あっちなみに風邪はほぼ治りましたよ!
風邪はひきたくないよね!
元気が一番だ!



夢を見た。

夢の中の俺は紅蓮のごとき炎を携え、惜しむことなくその両手の二槍を奮っていた。
ひゅ、と奮う度に、ごう、と燃え盛る炎。
それに怯まぬほどの己の火照り。
熱に浮かされ、薙ぎ払うようにただただ奮う二槍は、薙ぐ度に徐々に重みを増していく。
そうして奮っているうちに、ふと気付けば荒れ野が広がっていた。
立つものは何もない。
人も、樹も、草ですら、ない。
全て、己が薙いだから。
その全てを、己が炎で喰らい尽くしたからだ。
燃えるような紅い荒れ野にぽつりと立ちながら、ただひたすらに、ぜい、ぜい、と肩を揺らして息をする。
ぜい、ぜい、ぜい、ぜい、と。
繰り返すうちに荒い呼吸すら困難になり、果たして俺は今まで一体どの様にして息をしていたかすらもわからなくなった。(なんということだ、産まれたての赤子ですらそれを知っていると云うのに!)
額に浮かんだ珠のような汗を拭うことすら出来ず、息苦しさから喉を掻きむしりたくなる衝動に、す、と心地よい手が汗を拭う。
そこでようやく、目が覚めた。

「…佐助」
瞼をうっすら開ければ、忍が眉を潜めて笑った。
ひやり、と己とは対称的な体温のなんと心地よいことか。
すり、と猫がするように頬で撫で付ければ、「全く…困ったお人だね…」と愛しむように溜め息を吐かれる。
「弁丸様はお風邪を召してるんですから、大人しく寝てて下さいよ」
まだ弁丸と呼ばれる頃の俺は、初めての熱に浮かされ、ここ4日ほど床に臥せていた。
(産まれてこのかた、病を患ったことがないということが俺の小さな自慢であったと云うに。)
何分床に臥せるということは初めての為、いつものように元気に鍛練に励むことも出来なければ、うまいと飯を喰うことも出来ない。
仕方なしに眠ってみれば、この夢である。
はぁ、と熱を孕んだ息を吐き出しつつ、濡らした手拭いを絞る傍らの忍に問いかける。
「…なぁ佐助」
「なぁに?」
「戦とは、なんであろうな…」
ぽたり、と最後の一滴を絞った忍は、目を丸くした後、やはり眉を潜めて笑った。
(これが笑うときは、いつも眉を潜めるのだ。)
「何?急に…悪い夢でも見ましたか?」
ひやり、ひやり、と頬を拭われる度に、その冷たさが心地よい。
「…弁丸様も、じきに初陣ですからね」
そりゃあ風邪で弱った身、悪い夢も見ましょう。
一頻り拭い終わると、また桶の中の冷や水に付け、絞る。
「でもね、俺は信じていますよ」
ぎゅう、と、一滴も残さずに。
「弁丸様はきっと御立派な武将になられます。真田幸村は、日の本一の兵になりましょう」
「そうなれば、お前は嬉しいか」
「そりゃあ、誇らしいでしょうよ。主様が立派に成られれば」
「…そうか」
「そうですよ」
「……そうか」
「えぇ」
ですから、こんな風邪など早う治して下さい。
ひた、と冷えた手拭いを額に置かれ、桶を持った忍は音もなく立ち上がる。
「あとで粥をお持ちします。それまでゆっくり休まれて下さいよ」
す、と閉められた襖に名残を残しつつも、俺は再び眠りに就いた。
額の手拭いが心地よい。
もう、斯様な夢は見ないであろう。



ねむれよねむれ。
(何れ迎える時迄、今はどうか安らかに)
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by alice-rabbit13 | 2008-11-07 21:35 | 駄文